ワールド・ミュージックの新しいスタンダードを提案していく、 panai レーベルのご紹介です。自分が絵描きと並行して行っている、いわば音楽部門です。

panaiレーベル11作目は中国北京出身のウー・フェイ。彼女は中国の伝統的な楽器、古筝(こそう、グーチェン)と呼ばれる21本の金属弦を持つ琴に近い楽器のプレイヤーであり、同時にヴォーカル、作詞 / 作曲も手がける音楽家です。

音楽家の家系に生まれ5歳から古筝をはじめ、中国音楽院でピアノ、古筝や声楽技術を学んだあと2000年からアメリカにわたり現在は拠点を北京に置いています。

ジョン・ゾーンによる前衛的なレーベル、Tzadik Recordsからもリリースがあることからもうかがえますが、HENRY COWのフレッド・フリス、女性ヴァイオリン奏者カーラ・キールステッド、日本の箏奏者沢井一恵、フリー・ジャズを代表するピアニスト、セシル・テイラーらとも交流しながら、伝統に根ざした技術に、実験的で先進性をもったアイデアをうまくミックスしながら素晴らしい音楽を作っています。

本作は即興と作曲の要素と中国伝統音楽と現代音楽の要素の2つのベクトルが重なっており、緊張感のあるインプロヴィゼーションの中をウー・フェイの伸びやかな声と幻想的な古筝が響いていく。凛とした佇まいを感じさせる魅力的なアルバムです。中国のトラディショナルな楽曲の魅力とフリージャズの現代的な解釈、これがこのアルバムのききどころです。インタビュー、解説付き。






2012年2月15日発売　pana011