world music label “panai” -Yuri Popoff「lua no Céu Congadeiro」

by satoshi


ワールド・ミュージックの新しいスタンダードを提案していく、 panai レーベルのご紹介です。自分が絵描きと並行して行っている、いわば音楽部門です。

panaiレーベル12作目はブラジルで活躍する、トニーニョ・オルタの妹のレナの夫としてトニーニョの活動を支えてきた一方で、ミナスの伝統音楽を研究するユリ・ポポフ。彼はベテランベーシストとしてトニーニョの音楽を作曲/演奏と長い間支えつつ、べト・ゲヂス、ナナ・カイミ、マリア·ベタニア、ジョアン·ドナートなどブラジルの錚々たる面々のバックバンド·メンバーとしてツアーを行ってきました。

ユリはブラジルの南東部に位置するミナス・ジェライス州の生まれですが、この土地は鉱物資源が豊富で多くのアフリカ人が労働力として投入された歴史があります。アフリカ人が持ち込んだダイナミックなリズムとプリミティブなインディオたちの音楽とヨーロッパの教会音楽が融合して豊かな音楽の生まれる土壌が育まれました。

この音楽性豊かな土地ではブラジル音楽界を代表するMilton Nascimento、Lo Borges、Toninho Hortaなどの屈指のアーティストが生まれています。

ユリはミナスの各地に赴き伝統音楽を収集するというようなことを行いながら、それらの音楽が持つ土着性や垢抜けなさを大切に残して、トニーニョらと磨き上げた現代的な感性でもって再構築しており、不思議と日本に住む我々にとってもどこか懐かしさを感じさせるところがあります。

ミナス・ジェライスのまばゆい光の中でつくられた、彼の音楽への愛と伝統への賛美が詰まった、風、土、太陽を感じる祝福の音楽をどうぞ楽しんで下さい。分かりやすい解説をケペル木村さんにお願いしました。



2012年6月20日発売 pana012